【歴史的建造物アーカイブ】東隧道

保土ケ谷区岩井町にあり、保土ケ谷駅東口方面と聖隷横浜病院、清水ヶ丘方面を結ぶ「東隧道(あずまずいどう)」。東隧道は関東大震災で被災した水道施設の復興事業として、西谷浄水場から蒔田・大岡・井土ヶ谷・弘明寺・堀の内・岡村・磯子の各方面に給水する水道管を敷設する為、清水ヶ丘~南太田間にある大原隧道と共に建設されたトンネルで、昭和5年(1930)に竣工した。トンネル内部には現在も水道管が埋設されている。大原隧道が水道用トンネル専用として建設され後に歩行者専用道路としても併用されるようになったのに対し、東隧道は当初より水道用トンネルと公道の併用として建設され、高さ6.3m、幅5.7mと大原隧道よりも規模が大きく自動車も通行できるようになっている。
坑門(トンネル入口)のデザインが美しいトンネルであり、白い花崗岩で装飾された梁とトスカナ式の柱は垂直と水平の力強いラインを描き、構造部に優れたデザイン性を創りだしている。また積み上げられた煉瓦は紫褐色の色味が味わい深い焼過煉瓦で、これが長手面と小口面を交互に見せるフランス積で積まれるなど、随所にデザインへの高い配慮が感じさせられる。
平成12年(2000)には横浜市認定歴史的建造物に認定されており、また平成18年(2006)には豊かなデザイン性と公道と兼用になっている水道幹線路の隧道という希少性を評価され、土木学会選奨土木遺産に選定されている。

(DATA)
建築年代:昭和5(1930)
構造/規模:馬蹄形トンネル/延長168.7m・高さ6.3m・幅5.7m
設計/施工:横浜市水道局/不詳
指定/分類:横浜市認定歴史的建造物(平成12年度)
所在地:横浜市保土ケ谷区岩井町178~岩井町318

保土ケ谷駅側の坑門

東隧道と大原隧道のデザインは良く似ているが、立体的な柱やコーニス風の装飾など東隧道にしか見られない箇所もある。

焼過煉瓦の紫褐色の色味が良い雰囲気。

トンネル内部。車も通るが歩道がないため、通行には注意が必要。

聖隷横浜病院側の坑門。

聖隷横浜病院側の坑門上部。

 

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2017-07-25 | Posted in 歴史, 歴史的建造物アーカイブ | tag:

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