【歴史的建造物アーカイブ】横浜山手聖公会

中世の城砦を思わせる重厚な佇まいで、山手本通りに立ち並ぶ歴史的建造物の中でもひときわ存在感のある「横浜山手聖公会」。

「横浜山手聖公会」のルーツは居留地に住む外国人信徒のため、文久3年(1863)に前田橋そばの山下居留地105番地に設立された「クライストチャーチ」。クライストチャーチは明治34年(1901)に現在地の山手町235番地へ移転。鹿鳴館などの設計者で日本における近代建築の師とされるジョサイア・コンドルの設計により、尖塔をもつ煉瓦造でヴィクトリア・ゴシック様式の聖堂が建てられた。しかし、大正12年(1923)に発生した関東大震災によりこの2代目の聖堂は倒壊。震災後の昭和6年(1931)に3代目となる現在の聖堂が再建された。

3代目聖堂の設計は、旧丸ビルや日本郵船ビルの建設に携わったのち横浜を中心に活動し、旧アメリカ領事館、旧横浜競馬場一等馬見所、山手111番館、ベーリックホールなど数多くの作品を残したJ.H.モーガンによる。建物は鉄筋コンクリート造の表面に大谷石を貼りつけた構造。ゴシックとノルマン風が混在した様式で、鐘楼のある中世の城砦のような重厚なデザイン。第二次世界大戦中の空襲により屋根が焼け落ちるなど大きな被害を受けたが、戦後間もなく修復工事が行われ昭和22年(1947)に再建された。平成17年(2005)には放火により内部や屋根が焼ける被害を受けたが、同年のうちに修復されるとともに、戦争中に失われていたステンドグラスが創建時に近い姿で復元された。

震災、戦争、火災と幾度も災禍に見舞われながらその都度力強く復興を果たしてきた「横浜山手聖公会」。外国人墓地の斜向かいの山手本通り沿いにどっしりと構え、通りのランドマークとして欠かせない景観をつくりだしている。

(DATA)
建築年代:昭和6(1931)
構造/規模:RC造1階(1部2階)・地下1階
設計/施工:J.H.モーガン/不詳
指定/分類:横浜市認定歴史的建造物(平成元年度)
所在地:横浜市中区山手町235

横浜山手聖公会2-THE YOKOHAMA STANDARD

 

横浜山手聖公会1-THE YOKOHAMA STANDARD

 

横浜山手聖公会3-THE YOKOHAMA STANDARD

THE YOKOHAMA STANDARD ウェブサイト

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2017-01-12 | Posted in 歴史, 歴史的建造物アーカイブ | tag:

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