【歴史的建造物アーカイブ】ベーリック・ホール
山手本通り沿いの元町公園内にあるベーリック・ホールは、明治31年(1898)に来日して貿易商として活動し、フィンランド名誉領事も務めたB.R.ベーリック氏の邸宅として昭和5年(1930)に建てられた。設計は横浜ゆかりの建築家として知られるアメリカ人建築家J.H.モーガン。モーガンはアメリカ最大級の建築施工会社フラー社の技師として大正9年(1920)に来日し、旧丸ビルや日本郵船ビルの建設に携わった後に横浜を中心に活動し、旧アメリカ領事館、旧横浜競馬場一等馬見所、山手111番館、横浜山手聖公会、外国人墓地正門など数多くの作品を残した。
現存する山手外国人住宅の中で最大規模をもつスパニッシュ・スタイルの建物は、3連アーチの玄関ポーチ、アーチ窓、クワットレフォイルの小窓、オレンジがかったスパニッシュスタイルの瓦、壁泉など多彩な装飾で構成されている。
ベーリック氏は第二次世界大戦を機にカナダへ移住し、建物は戦後になりカトリック・マリア会に寄贈され、長らく同会の運営するセント・ジェセフ・インターナショナル・スクールの寄宿舎とした使用されてきた。しかし、平成12年(2000)の同校閉校により、横浜市が敷地を取得し建物は寄贈され、復元改修工事を経て平成14年(2002)から一般公開されている。約600坪の広い敷地に余裕をもって立ち、ソテツやシュロを始め植栽豊かな庭園の雰囲気も良く、西洋館ならではの優雅な佇まいを感じさせる。
(DATA)
建築年代:昭和5(1930)
構造/規模:木造2階・地下RC造1階
設計/施工:J.H.モーガン/不詳
指定/分類:横浜市認定歴史的建造物(平成13年度)
所在地:横浜市中区山手町72(元町公園内)
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