【歴史的建造物アーカイブ】横浜税関本関庁舎

名称:横浜税関本関庁舎
ふりがな:よこはまぜいかんほんかんちょうしゃ
(概要)
緑青色の美しいドームがシンボルの海岸通りに建つ「横浜税関本関庁舎」通称”クイーン”。 開港により海外貿易の中心地となった港横浜にとって、輸出入の管理を行う税関は重要な場所であり、その庁舎も各時代ごとに横浜を代表する建物であった。

現在の「横浜税関本関庁舎」は税関の前身となる「運上所(うんじょうしょ)」の時代から数えると5代目、呼称が「税関」となってからは3代目の庁舎となる。横浜税関の前身「神奈川運上所」は開港にともない1859年に現在の神奈川県庁所在地に設置された。1866年に慶応の大火(通称:豚屋火事)で初代運上所が焼失すると、1867年に石造り洋風建築の「2代目運上所庁舎」が現在の横浜地方裁判所所在地に建てられ、名称も運上所から「横浜役所」に改められた。この「2代目運上所庁舎」は後に神奈川県庁に引き継がれ「初代神奈川県庁舎」として使用された。

名称が「税関」となってから最初の庁舎となる「初代横浜税関庁舎」は1873年に竣工。本格的な洋風建築で現神奈川県庁所在地に建てられた。しかし1882年に先の2代目運上所庁舎で初代神奈川県庁舎が火事で焼失したことにより、この「初代横浜税関庁舎」は県に譲渡され、1885年に中央に六角形の塔をもつ煉瓦造りの「2代目横浜税関庁舎」が日本大通りの海側突き当りの場所に建設された。しかしながら、関東大震災により「2代目横浜税関庁舎」は崩壊、震災復興期はバラックの平屋が庁舎の代りに使用された。現在の「3代目横浜税関庁舎」はこうした苦難を経て昭和9年(1934)に現在の海岸通1-1に建設された。

塔の高さは51.46メートルで当時横浜一の高さを誇っていた。ドームは当初は赤銅色であったが長い時間を経て現在のような美しい緑青色へと変化してきた。建物にはムーリッシュ、ロマネスク、クラシックなど様々な様式が見られ税関の国際的な性格を表してる。暖かみのあるベージュの外壁は”クイーン”の名にふさわしく柔和で女性的な雰囲気を感じさせる。設計は大蔵省営繕管財局工務部。

平成13年(2001)~平成15年(2003)にかけて、大規模な改修と増築が行われたが、街路に面する三方の外観についてはそのまま保存・活用するなど景観を配慮したものであった。象の鼻パークなどが整備され、海側から正面の姿がよく見えるようになったクイーン。海に向かって建ち、現在も横浜の港を見守り続けている。
(DATA)
建築年代:昭和9(1934)
構造・規模:大蔵省営繕管財局工務部/戸田組
設計/施工:SRC造・5階
指定/分類:横浜市認定歴史的建造物
指定年月日:平成12年度
所在地:横浜市中区海岸通1-1

横浜税関2-THE YOKOHAMA STANDARD

横浜税関1-THE YOKOHAMA STANDARD

(写真撮影:2014.12)


2015-01-05 | Posted in 歴史的建造物アーカイブ, | tag:

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