【史跡・遺跡】旧税関事務所遺構

赤レンガ倉庫の隣にのこる三角形の遺跡「旧税関事務所遺構」。朽ちた煉瓦が生い茂る植物の緑と溶け合うような佇まいは、独特の歴史的雰囲気を創り出している。

「旧税関事務所(右突堤中央事務所)」は、明治後期から大正初期にかけて造成された「新港ふ頭」に赤レンガ倉庫やハンマーヘッドクレーンなどと共に建造された港湾施設の一つで、大正3年(1914)に竣工し、船舶の係留、貨物の取扱い等の事務を行っていた。煉瓦造スレートぶき、3階建てのゴシック様式の建物で、ガラス張りの天井ホールがあり、ガス暖炉、白熱電灯、給水管など当時としては最新鋭の設備が備えられていた。

しかし、大正12年(1923)9月1日に発生した関東大震災は、新港ふ頭にも壊滅的な打撃を与え「旧税関事務所」も床や屋根が焼失。竣工からわずか9年の短命に終わることを余儀なくされた。震災後、建物は復旧されることなく埋め戻され荷捌き用地となっていたが、昭和63年～平成13年にかけて行われた「赤レンガパーク」の整備の際に発見され、現在は「旧税関事務所遺構」として保存されるとともに花壇として利用されている。