【横浜の坂道】曲っ坂(金沢区)

京急富岡駅東口すぐそばの坂下から、駅の周囲に広がる丘陵をのぼり、坂上で富岡の古道に接続する「曲っ坂(まがっさか)」。

横浜には多くの坂道があるが、この「曲っ坂」は市内でも有数の珍奇な坂道である。京急富岡駅からほど近い、小さな居酒屋が軒を連ねる建物と建物の間の小さな路地が坂への入口。一見するとすぐ行き止まりになりそうな路地に見えるが、ここがワンダーランドへの序章。始めは傾斜地に沿って住宅が立ち並ぶ間を階段坂が続き、手すりもグニャリと曲がる強烈なヘアピンカーブを過ぎると、高架上の京急富岡駅を見渡す高台に出る。京急の線路と並行して続く崖沿いの道をしばし進み、道沿いに住宅が無くなってくると、しだいに道の様子が変わってくる。生い茂る植物たちを押しとどめるように続くトタン壁が途切れ、道を大きく右へ曲がると、山を切り開いた小切通が唐突に姿をあらわす。この切通、地面こそ舗装されているが、壁は地層がむき出しで上部は植物が覆い、完全に古道の佇まいである。切通しの先に分岐点があり、「谷戸坂」方面への近道がのびているが、この道もまた凄い。まるで山の内部にでも下りてゆくかのような風情で、辺りは暗く、もはやここがどこで、いつの時代かもわからなくなる。ところで、この坂はめったに人が通らないような類の坂ではない。一種異様に感じる空間の中を地元の人々は何食わぬ顔をしてふつうに往来してゆくことが、かえって一層この坂の独特さを際立てる。うす暗かった分岐点を抜けると一転、辺りはパッと明るくなり、農園の広がる丘の上に出る。丘上は眺望の良い所で、天気の良い日には房総半島まで見渡すという。農園ゾーンを過ぎると坂は緩やかに下りはじめ、樹木の小さなトンネルのある森の遊歩道のような小道をしばし進めば、坂の終点に到着。西へ氷取沢方面・東へ谷戸坂地蔵尊方面に続く古道に合流する。
古より山に囲まれた土地であった富岡らしい景観を今に残す駅周辺の丘陵地を南北に結び、目まぐるしく変わる様々な風景が約350mの行程に共存する、生のままの坂道とでもいうべき、極めて個性的でありかつ魅力に溢れた坂道である。

坂の入口。京急富岡駅からほど近い小さな居酒屋が軒を連ねる建物と建物の間の小さな路地を入ってゆく。

 

強烈なヘアピンカーブ。カーブのラインに沿って手すりもグニャリ。

 

階段上からの景色。高架上の京急富岡駅が間近に見える。

雰囲気のある大きな木が立つ階段上。階段はここで終了するが坂はまだまだ続く。

しばらくなだらかな道が続く。

道沿いに生い茂る植物たちを押しとどめるように続くトタン壁。

トタン壁が途切れ、道を大きく右へ曲がると。。。

山を切り開いた小切通が唐突に姿をあらわす。

上部には植物が繁茂し、古道の佇まい。

地層がむきだしの壁面。

 

切通し先の分岐点。右手に谷戸坂下方面への近道がのびる。

これは谷戸坂方面へのびる道。ここはどこ?状態。

うす暗い分岐点を過ぎると、道の先に光が射してくる。

 

丘の頂上付近へ緑に囲まれた小道が続く。

農園の広がる丘の頂上付近。

 

 

森の遊歩道のようなのどかな小道。樹木の小さなトンネルを抜ければもうすぐ終着点。

坂の終点が見えてきた。終点では西へ氷取沢方面・東へ谷戸坂地蔵尊方面に続く古道に合流する。

坂の終わり付近から、来し方をのぞむ。

‐おわり‐

THE YOKOHAMA STANDARD ウェブサイト

(関連記事)
【横浜の坂道】富岡の谷戸坂(金沢区)
【YOKOHAMA SNAP】京急富岡駅下の人道トンネル


2017-09-26 | Posted in 横浜の坂道, | tag:

関連記事