【横浜の寺】白滝不動尊
根岸の町で古くから大切され、不動坂の名の由来にもなっている「白滝不動尊」。丘上の不動堂へ続く急な石段脇の岩壁からは、往時に比べ水勢は細くなったというものの、ひと筋の滝が今も流れ落ち心地良い水音を伝えている。
白滝不動尊は、同じく根岸にある宝積寺の境外仏堂で、本尊の不動明王立像は江戸幕府による武蔵国の地誌『新編武蔵国風土記稿』において<元禄三年、海中より出現の像にて、智証大師の作と云う>などと伝えられ、他にも境内の崖の中段にあった井戸の中から出現した、などという伝説がある。
古くは、その霊験あらたかなるをもって、遠く房総や三浦の漁民も船でやってきて参詣したといい、明治中頃まで周辺の街道には黄金屋・角海老・石崎・瀧の屋・原木などといった茶亭や旅籠が軒を並べ参詣客で大いに賑わったという。関東大震災では、周辺の住宅に被害がほとんど無かったのに対し白滝不動だけが全壊したことで、町の人々はお不動さまが身代わりになったと信じたといい、震災後の大正14年には再建されたという。
丘陵地帯が開発され水源を失って滝の水は細り、今となっては丘上の本堂から根岸湾の美しい姿を見渡すことも叶わない。それでも、白滝不動尊は昔から変わらぬ場所に在り、樹林に囲まれ急な参道階段が続く景観と流れ落ちる滝の水音は往時の面影を伝え、周囲は落ち着いた雰囲気に包まれている。
丘上の不動堂へ上る急な石段。
石段脇の滝。
滝壺。
滝のすぐ脇にある大木。
女坂。石段は真っ直ぐ一息に上る男坂と曲がりながら緩やかに上る女坂の二つに分かれている。
女坂の頂上付近。
不動堂。
不動堂の脇にも小さな滝がある。
岩壁の祠。
頂上から女坂を見下ろす。
不動堂の前から男坂を見下ろす。
白滝不動尊
所在地:横浜市中区根岸町3-156
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