【歴史的建造物アーカイブ】横浜貿易会館
開港広場前交差点の角に建つ「横浜貿易会館」。海岸通りと大桟橋通りと山下公園通りがS字にカーブしながら交わる印象的な風景の中に建ち、ビルに入る北欧料理店”SCANDIA”の看板とともに記憶に残る景観をつくっている。
「横浜貿易会館」は、横浜における貿易振興の為に設立された”横浜貿易協会”の事務所ビルとして、関東大震災復興期の昭和4年(1929)に竣工した。設計・施工は大倉土木で、外壁のスクラッチタイルが特徴的。隣に現在も残る「横浜海洋会館」と同時に同じ設計・施工で建てられ、また、同じく海岸通りに現存する「ジャパンエキスプレスビル」、「昭和ビル」や山下町の「インペリアルビル」の設計者として知られる川崎鉄三がこのビルの施工監理を務めたとされる。
第二次世界大戦の戦火を凌ぎ、戦後は米軍により宿舎、通信部隊、オクタゴンライブラリーなどの施設として昭和27年(1952)まで接収された過去も持つ「横浜貿易会館」。86年に渡って海岸通りの曲がり角に建ち、「昭和ビル」から「横浜海洋会館」、「ジャパンエキスプレスビル」と戦前期のモダンビルディングが連なる一連の流れをつなぎ、今や”海岸通り”のみならず”横浜”を代表する魅力的な風景の一つとなっている。
(DATA)
名称:横浜貿易会館
ふりがな:よこはまぼうえきかいかん
建築年代:昭和4年(1929)
構造・規模:RC造・3階
設計/施工:大倉土木/大倉土木
指定/分類:未指定
所在地:横浜市中区海岸通1-1
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