【横浜の通り】馬車道通り
関内駅にほど近い吉田橋から東京藝術大学馬車道校舎のある本町通り交差点まで続く「馬車道通り」。馬車道は、慶応2年(1866)に発生し町の大半を焼き尽くした大火(通称・豚屋火事)を契機に行われた町の整備により「日本大通り」などと共に誕生した通り。外国人の馬車が行き交い、明治2年(1869)に開通した東京~横浜間の乗合馬車の発着所が吉田橋のわきに設けられたことなどから「馬車道」と呼ばれるようになったという。外国文化の入口でもあった馬車道は、ガス灯、アイスクリーム、近代街路樹、乗合馬車など様々なものの日本における発祥の地としても知られている。
通りにはボリュームのある美しい緑青ドームがシンボルの「神奈川県立歴史博物館(旧横浜正金銀行本店本館)」、戦前期の銀行建築である「東京藝術大学馬車道校舎(旧富士銀行横浜支店)」、シンプルさの中に味わいがある「馬車道大津ビル(旧東京海上火災保険ビル)」などの歴史的建造物が建ち並び、戦後につくられた低層の防火帯建築も通りの景観に特徴を与えている。歩道にはレンガが敷かれ、日が落ちれば今も81基のガス灯が柔らかな明かりを灯す、古き良きクラシカルな雰囲気を今に残す歴史情緒あふれる横浜を代表する通り。
関内駅側から。
吉田橋方面・イセザキモール方面を望む。
マリナード地下街入口
クスノキの並木とイギリスからきたガス灯。馬車道通りにはモニュメントとしてイギリスのガス灯も設置されている。これはトラファルガー広場のもの。
尾上町通りの馬車道交差点。通りの角にある老舗いなり寿司店「泉平」と「ジュエルウエスト」。
地下鉄乗り場や地下街など地下への出入口が多い
アートビル
JAZZの品揃えが豊富なディスクユニオン横浜関内店。
アートビル前の太陽の母子像。明治2年に馬車道で町田房蔵により販売されたアイスクリン(アイスクリーム)の発祥を記念してつくられた。
通りにはレトロな木のベンチが数多くあり、一休みすることができる
かつては多くの人で賑わった横浜東宝会館は2001年に閉館し、跡地にはホテルが立つ。
戦後の復興期に建てられた防火帯建築も馬車道通りの景観を特徴づけるものの一つ。
野田ビル・馬車道会館ビル
早川ビルのフラワーショップと宝石店
「旧横浜宝塚劇場」、「旧市民ホール」を経て1986年から市民に親しまれている文化施設「関内ホール。休日には入口前でライブなども行われる。
関内ホールの新築を祝って復元された初期型のガス灯。
英国国会議事堂のガス灯
アート・キャンディショップ「PAPABUBBLE」。店内には色とりどりのキャンディが並ぶ。
周さんの「生香園」。
建替えられる予定の商栄ビル。こちらも防火帯建築。
商栄ビル前から関内駅方面を望む。通りに三か所あるアーチにもガス灯が設置されている。
慶応2年(1866)創業の老舗紳士・婦人服店「信濃屋」。
「日本写真の開祖・下岡蓮杖顕彰碑」。日本における最初期の写真家である下岡蓮杖は、1867年頃に顕彰碑からほど近い太田町で写真館を開業した。下岡蓮杖はまた京浜間を結んだ乗合馬車の経営者としても知られる。
レトロな雰囲気の紅茶専門店「サモアール」。
牛馬飲水槽のレプリカ。まちが牛馬とともに在った当時の雰囲気を感じさせてくれる小さな遺構。
横浜を代表する歴史的建造物である旧横浜正金銀行本店本館(神奈川県立歴史博物館)は、明治を代表する建築家・妻木頼黄の設計により明治37年に建設された。
昭和11年竣工の馬車道大津ビル(旧東京海上火災保険ビル)。ベージュのタイルと縦長窓が特徴のシンプルで味わい深い建物。
古書店とドーム
みなとみらい線・馬車道駅
本町四丁目交差点前から関内駅方面を望む。ごつごつした堅牢な外壁が特徴の戦前期の銀行建築である旧富士銀行横浜支店は昭和4年竣工。現在は東京藝術大学馬車道校舎として使われている。
‐おわり‐
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