【横浜の橋】打越橋

打越の切通をまたぎ山手方面と南区方面を結ぶ昭和3年(1928)竣工の「打越橋」。石積擁壁に囲まれた深い谷間に架かる朱色のアーチが印象的な景観をつくりだしている。

関東大震災後、牛島山と呼ばれた打越の丘を南北に削って切通にし、横浜市電を通す復興事業が行われた。「打越橋」もまた震災復興事業として、切通をまたぎ山手方面と南区方面を結ぶために建造された。橋は昭和3年8月に竣工し、同月には車橋~山元町間に市電が開通した。橋の設計は横浜市土木局で、施工は横浜船渠。2ヒンジアーチとその上に載るトラス補剛桁から成る上路式鋼ランガー橋で、朱色のカラーと高いアーチのラインが特徴的。切通に斜めに架かる70度の斜橋でもありアーチが変断面になっていて、見る位置によって二つのアーチのラインが微妙にズレて重なり合い独特な雰囲気をうみだしている。また橋台は鉄筋コンクリート造に石貼りが施され切通の雰囲気と調和のとれたものになっているなど、橋全体が周囲の環境と一体となり美しい景観をつくっている。

今年(2016)で竣工から88年目となる地域のシンボルは、かながわの橋100選に選ばれている他、平成27年(2015)には<現在まで廃止・架替えが行われることなく約 1 世紀にわたり市民の生活を支え>、<横浜の都市形成において特に重要な役割を担ってきた>ことなどが評価され、同時期に建造された「山手隧道」、「櫻道橋」、「西の橋」、「谷戸橋」とともに”元町・山手地区の震災復興施設群”として土木学会の選奨土木遺産に認定されている。

(DATA)
建築年代:昭和3(1928)
構造・規模:上路式2ヒンジ鋼ランガー橋
設計/施工:横浜市土木局 / 横浜船渠会社
指定/分類:横浜市認定歴史的建造物(平成15年度)・土木学会選奨土木遺産(平成27年度)
所在地:中区打越26~山手町223

打越橋1-THE YOKOHAMA STANDARD

 

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打越橋7-THE YOKOHAMA STANDARD

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2016-06-15 | Posted in 横浜の橋, | tag:

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