【YOKOHAMA SNAP】イセビル

吉田橋たもとのイセザキモール入口に立ち、根岸線の車窓からもよく見えるアーチ窓が印象的なレトロなビル「イセビル」。イセビルは横浜市会議員でもあった上保慶三郎が関東大震災で壊滅した横浜の復興を目指して建設した震災復興建築で、昭和2年(1927)に竣工した。実業之横浜社から出版された当時の雑誌『大横浜』において、ビルは「伊勢佐木町の咽喉を扼する復興建築の魁」と称され、上保慶三郎氏について「震災後いち早くこの土地を手に入れビル建設に着手し復興建築の先端を押し切って進んだ」と称えている。竣工当時のビルには、カフェー、洋傘店、白タクシー事務所、洋菓子店、寿司屋、佃煮屋、ビリヤード場、麻雀倶楽部、バー、屋上にはキリンビヤホールなどといった店が入り、どの店も常に異常なほどの売り上げでビルは不夜城の観を呈したという。竣工から90年。周囲の景観は時代ごとに変遷を重ねてきたが、イセビルは変わることなく通りの入口に構え、伊勢佐木町を象徴するビルとして在り続けている。

 

 

 

 

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2017-06-30 | Posted in 風景・街角, YOKOHAMA SNAP | tag:

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