【横浜の商店街】浜マーケット
磯子区を走る国道16号沿い「浜」バス停近く、懐かしいレトロな雰囲気が残り、古くから地域で親しまれている「浜マーケット」。2007年に放火とみられる火災により甚大な被害を受けたが、苦難を乗り越え今日も元気に営業中!
戦後の闇市が発展してできた「浜マーケット」。戦時中に戦車が通るためにつくられ、疎開道路となり、戦後は空き地となっていた道に、一間間口(約1.8m)の店が10軒ほど並んだのが始まりとされる。現在の磯子消防署の位置に磯子区役所があるなど(昭和42年に移転)、かつては浜マーケット界隈が磯子の中心地であり、国道16号には横浜市電が走り、マーケットは連日大変な賑わいであったという。
現在の商店街は、国道16号側の入口から磯子小学校側まで続く約140mほどのアーケードに、八百屋さん、肉屋さん、魚屋さんをはじめ、お惣菜屋さん、漬物屋さん、和菓子屋さん、花屋さん、金物屋さんなど、20ほどの”手作り”や”質”にこだわった店舗が軒を連ねる。狭い通路ではどの店でも店主とお客さんが自然におしゃべりを楽しむ姿が見られ、レトロな外観のみならず、人と人のふれ合いもまた古き良き時代の雰囲気が残る、アットホームで心温まる昔ながらの商店街。
小島家
昭和23年創業の老舗うなぎ店。毎日お店で割く新鮮なうなぎが自慢。他に焼鳥や「磯子の逸品」にも選ばれた”若どり唐揚げ”など惣菜も人気。「子どもが大好き!」という浜マーケット理事長でもある店主が作る折り紙カエルやゴム鉄砲も子供たちに大人気。2007年に発生した不審火によりアーケードの中にあった以前の店舗は全焼したが、現在の場所に移転して再建を果たし変わらぬ味を今も届けている。
旧店舗跡に残るかまど。先代が魚沼出身でご飯にこだわり、2代目である現店主は毎朝このかまどで米を炊いてきたという。火災により朽ちてしまったかまどが、長きに渡りこの場所で営業を続けた店の記憶を伝えている。
岡田果実店
戦前から営業を続ける老舗青果店。店舗は国道16号側のアーケード入口にあり、フルーツの良い香りでマーケットを訪れるお客を迎えてくれる。通路を挟んで一方に野菜、もう一方に果物が並ぶスタイルで、<新鮮、安い、美味しい>をモットーに多彩な青果を取り揃える。特に果物の種類は豊富で、みかんなどは様々な品種が並び色々と試してみたくなる。フルーツの盛合せは十八番、新鮮素材を生かしたお手製のぬか漬けも魅力。
磯子花壇
浜マーケットで約45年、「花は心の栄養です」をキャッチフレーズに、さまざまな種類の生花や鉢花を取り揃える。花の”新鮮さ”にこだわり毎日良い花を仕入れ安く提供している。人気は400~500円と手頃な価格ながらボリューム感のある仏花。最近では菊だけではなく洋花も混ぜてアレンジしたものも作っているという。お店の近くを通ると、新鮮な生花の気品ある心地良い香りに包まれる。
はまや高木食品店
昭和24年創業の老舗食料品店。煮豆や佃煮をはじめ、昔ながらの日本の食卓を彩るさまざまな食料品を取り揃える。店の自慢は店主と息子さんの二人で毎日作る豊富な種類の”手作りの惣菜”。中でも人気は先代の時代から変わらぬ味を継承しているという「うずら豆」。丁寧に作られた色つやの綺麗なお豆は、ふっくらとして絶妙に柔らかな食感で、素材の自然な甘さがスーっと浸透するような優しい味わい。お惣菜は日替りの品も多く「今日は何かな?」という気持ちで訪れる楽しみがある。
ルック
昭和40年から浜マーケットで営業を続けるクリーニング店。カウンターに黒電話を備えたレトロな店構えが目を引く。シワなどもキレイに仕上がる”手仕上げ”にこだわり、預かった衣服1点1点と丁寧に向き合っている。またシミ取りにも自信あり。
まつのや菓子店
戦後間もない昭和23年頃の創業。店内には昔ながらの懐かしい駄菓子をはじめ、たくさんのお菓子が所狭しと並ぶ。近頃は当たり付きのお菓子やくじ引きのおもちゃ類、スーパーボールなどが子どもたちに人気という。以前はアーケードの入口の方で営業していたが2007年の火災の後、現在の場所で再建。「子どもたちの為にお店を続けています」と店主は話してくれた。お菓子選びにワクワク感を与えてくれる、現代では希少な存在となりつつある町の駄菓子屋さん。
旭屋
昭和22年頃創業、現在は2代目の履物専門店。コンフォートシューズにカジュアルシューズ、ブーツにサンダル、下駄、草履、長靴などなど履物なら何でも揃う。最近の人気は安心・安全に歩ける”楽々”シリーズ。サンダル履きで気軽に買い物に来れる商店街ならではの豊富なサンダルのラインナップも魅力。素材が良く型崩れせず長持ちする高価格帯のものが人気という。他に修理も得意で、靴・下駄・草履・杖・傘まで幅広く対応。購入からメンテナンスまで足元のことなら何でも頼りになる町の履物屋さん。2007年の火災ではお店が全焼する被害を受けたが、現在の場所に移転し営業を続けている。
伊豆屋
浜マーケットで60年くらい営業を続ける老舗鮮魚店。旬の近海ものを中心に、豊富な種類の魚が並ぶ。新鮮さは一目見ればすぐ分かるほどで、一匹丸ごとであれ、切り身であれ、刺身であれ、どの魚も色が輝き、身がふっくらとしている。商品の札には食し方が書かれており、質問すればおかみさんが丁寧に教えてくれ、要望に応じて三枚おろしなど下処理もしてくれるので、専門店ならではの普段は見慣れない魚にもチャレンジしてみたくなる。他に自家製の塩辛をはじめ、酢の物、しめさばなど、その都度旬のものでつくる自家製商品も人気。”魚を食べる”ということを純粋に楽しませてくれる町の魚屋さん。
伊勢元
この地で60年弱営業を続ける老舗漬物店。白菜、かぶの甘酢漬け、キムチ、オイキムチ、ぬか漬け、なますなどの自家製漬物を中心に、母の味、ふるさとの味を感じさせるこだわりの漬物や味噌など昔ながらの食品を取り揃える。産地や畑の高度にまでこだわり、長い経験によって作られる白菜漬けは絶品!ほどよい塩分の優しい味の中に素材の旨みがしっかり凝縮し、キレの良いゆずのさわやかな香りも絶妙。シンプルなのに他にはない味わいはやみつきになること必須。自家製以外の商品もここでしか買えないこだわりのものが多く、全てがハイクオリティ、そして安い。
原金物店
昭和20年頃創業。店内の至るところに無数の家庭用品が陳列されていて、見ているだけでも楽しい。昔ながらの日本製の鍋、ホウキなど掃除用品、ショッピングカートなどが人気。豊富な種類のショッピングカートは通路に面してまるで”ショッピングカーディーラー”のようにズラリと並ぶ。お客さんとの付き合いを大切にし、おしゃべりを楽しみながら不足している物を思い出しては購入していくという。急須のツルなど他では扱いのないような家の中のちょっとした物が買えるのも有難い。
グルメショップ カネヒラ / 鳥徳
(グルメショップ カネヒラ)
横浜の商店街コロッケNO.1決定戦「ガチコロ!」で金賞を受賞した、ユニークな「三角コロッケ」で名高い「グルメショップ カネヒラ」。形は昔からの伝統だという「三角コロッケ」は、素材にこだわったじゃがいもとひき肉の旨みが食べごたえのある衣の中に凝縮し、クセになる美味しさ。他にもメンチかつ、とんかつ、シューマイなど自家製の惣菜を幅広くラインナップ。自慢は「アットホームなところとスタッフの笑顔です」
(鳥徳)
創業以来約60年以上続く老舗精肉店。新鮮な豚肉・牛肉を安く提供している。お店自慢の品は自家製の「焼豚」と「ローストビーフ」。焼豚は炭火で焼き上げる本格派。ローストビーフは店オリジナルのスパイスを使い、ガスオーブンで焼き上げている。
鳥徳・カネヒラともに大変な人気ぶりで、夕方になると絶えることなく人がやって来ては行列ができる。
大平屋
手作り・無添加にこだわった昭和34年創業の和菓子店。夫婦二人で毎朝5時から手作りしているという。こぢんまりとしたどこか懐かしい店内には、大福、お団子、すあまなどの定番から、色とりどりの綺麗な和菓子、おにぎりやのり巻など、丁寧に作られたさまざまな商品が並ぶ。「コーヒー大福」や「抹茶大福」といったオリジナルの大福も人気。優しく素朴な味わいの和菓子は毎日のおやつにぴったり。
鳥竹
昭和36年創業の鶏肉専門店。赤どりをはじめとした新鮮な鶏肉をはじめ、自家製惣菜も販売。鶏肉は様々なグレード、皮あり皮なしのもも肉やむね肉、ぶつ切りやこま切れなど切り方の違うもの、丸一羽、本鴨、レバー、砂肝、ハツなどなど様々なバリエーションを取り揃えるのは専門店ならでは。自慢の自家製惣菜はローストチキンと唐揚げ。しっかりと味がしみ込んで美味しいローストチキンは特に人気がありすぐに売り切れてしまうので、お求めの際は早めの時間帯がオススメ。
片野青果
「今日は○○が安いよー!」「特売だよー!」「甘いよー!」「おいしいよー!」と、磯子小学校側のアーケード入口から威勢のいい声で、お店はもちろんアーケード全体を盛り上げる元気な青果店。店主自身がとにかく「野菜が大好き!」。暇さえあれば産地へ赴き、お百姓さんから”本当の美味しさ”とその表現を学んでいるという。店主が最近感動したのは群馬で枝豆を生産するお百姓さんの言葉、曰く「(本当に美味しい枝豆は)かめばかむだけ”油がある”」。野菜をこよなく愛する八百屋で買う選りすぐりの青果に間違いなし。
いつも元気で笑顔の絶えない商店街「浜マーケット」。ふらりと立ち寄って、昭和レトロな風情を感じてみたり、親切で温かな店主たちとの会話を楽しんでみたり、こだわりの手作り商店街グルメを堪能してみてはいかが。「8」の付く日と「27日」と「土曜日」が特売日というユニークなスタイルなので、出かける時は要チェック!
浜マーケット
所在地:横浜市磯子区久木町20-5
アクセス<バス>:JR根岸線・磯子駅からバス7分・「浜」バス停下車徒歩1分
アクセス<徒歩>:JR根岸線・磯子駅から徒歩18分、根岸駅から徒歩15分(両駅からともに平地)
定休日:毎月 9日・19日・29日
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