【横浜の森】氷取沢市民の森と大岡川の源流
磯子区の南部にあり、横浜で三番目に高い円海山の周辺に広がる広大な緑地の一角をなす「氷取沢市民の森」。森はまた「大岡川」の源流でもあり、やがて市中心部を通り横浜港に注ぐ川の最初の一筋は、しっとりとした空気に包まれた森の中の静かな源流域から湧き出ている。
大平山、大丸山に次ぎ横浜で三番目に高い円海山(標高153.3m)周辺には、横浜市最大の約700ヘクタールにも及ぶ広大な森が広がっていて、一帯は「円海山近郊緑地特別保全地区」に指定されている。「氷取沢市民の森」はこの広大な緑地の一角をなす広さは約63ヘクタールの市民の森で昭和52年(1977)に開園した。森はまた横浜を代表する川の一つで桜の名所としても名高い「大岡川」の源流域でもあり、この森から湧き出た水が上流域では「笹下川」として流れ、港南区の上大岡付近で「日野川」と合流し「大岡川」と名を変え、南区、中区を通り桜木町付近で横浜港へ注ぐ。
森の中は尾根筋あり、谷筋ありと変化に富んだ地形になっていて、眺望の開けた場所では東京湾・房総半島・富士山などを望み、山から染み出した水でしっとりとした空気に包まれる源流域、緑に包み込まれるような独特な雰囲気のある山の中の谷戸、小川のせせらぎを楽しむことのできるアメニティなど、同じ森の中で様々な景色に出会うことができる。多様な動植物が生きる豊かな自然が保全され、また日常生活の近くにある川がどこで生まれ、どう流れ、普段見る景色に至るのかというイメージにつながりを与えてくれる「氷取沢市民の森」。森の空気に癒されながら四季折々に訪れたい横浜の貴重な自然空間。
「氷取沢市民の森入口」バス停から急坂を上った先にある入口から森へ入る。緑のトンネルが迎えてくれる。
右手に椿の並木が続く道
NHK円海山FM放送所の赤い鉄塔
円海山の山頂(標高153.3m)
円海山山頂周辺。急な斜面に杉林が広がっている。
「いっしんどう広場」からの眺め。「いっしんどう広場」は栄区の「瀬上市民の森」に接していて、広場から4方向に道が延びている。
起伏に富んだ尾根道を進む。
瀬上市民の森方面の深い谷
「金沢市民の森」方面との分岐点。馬蹄形をした氷取沢市民の森の頂点付近あたり、ここから谷筋を下ってゆく。
どこか神秘的な雰囲気の漂う一角
木立の間の急な階段を下りてゆくと、辺りはだんだんしっとりとした空気に。
ほどなくして、山の水が湧き出ている場所があらわれる。大岡川最初の一筋はシダに囲まれ土中から染みだしている。
大岡川の源流域
湧き出た水は少し進むともう小さな流れをつくりだしている。
大岡川源流の水
すでに小さな川となった大岡川に沿って木の道の遊歩道「大岡川源流域小川アメニティ」が続く。
草木が密生し迫ってくるような独特な景観
「おおやと広場」。細長く伸びる山の中の谷戸にある広場で、両脇の緑に包まれるような感覚をおぼえる心地の良い場所。
二本のもみじの木
おおやと広場を過ぎると、谷間を横切る横浜横須賀道路の高架橋が姿をあらわす。
高架橋の下をくぐり抜けた先の分岐点から「なばな休憩所」方面へ進むと、ほどなくして「氷取沢小川アメニティ」がある。山の湧水はもう立派な川になってきている。
「氷取沢小川アメニティ」を過ぎ、木立の間に続く急階段を上る。
「なばな休憩所」からの眺め。横浜横須賀道路の釜利谷料金所と東京湾を一望する不思議な景観。
鹿の角のような立派な木
丘を下りると「氷取沢農業専用地区」に合流。川沿いの道を進むと笹下釜利谷道路に戻る。
―おわり―
(行き方)
■磯子駅から市営バス(293系統)「氷取沢」もしくは「氷取沢市民の森入口」下車
■上大岡駅から江ノ電バス「氷取沢」もしくは「氷取沢市民の森入口」下車
■洋光台駅前から京急バス(107系統)「氷取沢市民の森入口」下車
■能見台駅から京急バス(能1、能3)「氷取沢市民の森入口」下車